Craftie Home Box制作ストーリー「アートを作ろう、アートを飾ろう」

Craftie Home Box』は、毎月さまざまなハンドメイド体験をお届けするサブスク定期便。季節によって衣替えするように、シーズナルな小物を自分で手作りしたり、少し手を加えたりすることで、おうちが自分だけの愛おしい場所になったらいいな。そんな思いから生まれました。

キットづくりの着想から完成まで、キットチームの舞台裏を紹介する制作ストーリー、今月は「アルコールインクアート」のお話です。

 

 

風を操るってどういうこと?

キャンドル作家さんやカリグラファーさんの作品で見かけるアートのことがずっと気になっていました。それが「アルコールインクアート」と呼ばれるものだと知ったのは数年前。調べてみたら材料もとても充実している様子。「Craftie Home Boxでもやってみたい!」と、キット化に向けて走り出すことになったのは昨冬のことです。

今回のキットの制作・監修をお願いしたのは、アルコールインクアート作家の猿田奈々さん。初めての打ち合わせでは、猿田さんの作品を見せていただきました。

 

 

重なり合う花びら、大理石のようなマーブル模様・・・。なんともいえない上質な空気感が漂うアートの世界にうっとり。

「日常にアートを」をコンセプトに活動されている猿田さんは、時計やスマホカバーなども制作しているそう。暮らしに使える実用品にもなるなんて。こんなコースターやチャームがあったら使ってみたい!

 

 

「アルコールインクアートは筆やペンをいっさい使わないんです」と猿田さん。どうやって描くのかと尋ねると、なんとドライヤーを使うのだ、と。

筆に変わるものは「風」。話の途中で猿田さんが口にされた「風を操る」という言葉にすごいインパクトを感じたのでした。

「アルコールインクアートは、絵を描くのが上手い下手は関係ない、失敗のないアートなんですよ」。そんな猿田さんの言葉に、はやる気持ちを抑えきれないキットチームでした。

 

アートは自由で、正解もないし、失敗もない

まずは自分たちで作ってみる、というのが、Craftie Homeのお決まりコース。私たちはさっそく猿田さんをお招きして、キットチームでの試作会を行いました。

専用のインクを専用ペーパーに垂らし、ドライヤーを片手に初チャレンジ。あれよあれよ、という間に、インクがあっちに行ったり、こっちに行ったり。ちっともいうことを聞いてくれません。「風を操る」どころか、すっかり風に操られてしまっています。

簡単にできそう、と思っていた円を描くのもひと苦労。ましてや猿田さんの作品のような美しい花模様が描くなんて、いったいいつになることやら。

私たちが作った作品は、花どころか、まるで世界地図。緑の部分はイタリアか・・・。

 

 

落胆気味の私たちに、猿田さんは、「アルコールインクアートに慣れてくれると、こんなふうには描けなくなってしまうんですよ。だからファースト作品を大切に」と、ひと言。

なるほど。大人になったら二度と描けない幼少時代のような絵のようなものか(と、勝手に納得)。そう思うと、このいびつな世界地図も、貴重な処女作品。なんだか愛おしくなってきます。

綺麗な円や花びらは確かに魅力的だけれど、このいびつな形もダイナミックなアート。アートは自由で、正解もないし、失敗もない。私たちはアルコールインクアートの楽しさに一歩近づいた気がしました。

絵筆のいらないアート、風を操る・・・。そんなアルコールインクアートは、きっと多くの人を魅了するに違いない。そう確信したキットチーム。私たちのキット制作に俄然力が入った瞬間でした。

 

悩みに悩んでたどり着いた
レッド&ブルーグリーン

試作会では、アルコールインクアートのやり方を覚えるほかに、キットにつける色を決めるのも重要なポイントでした。

私たちはいくつものインクを試し、混ぜたり、薄めたり。何パターンも作ってみました。

 

 

アクリルプレートでも試してみました。

 

 

淡いグリーンのつぼみをつけたと思ったら、少しだけ赤みを帯び、ひと雨ごとに豊かな赤紫に装いを変えていく・・・。ブルーグリーンとレッドの組み合わせは、そんな紫陽花の姿と重なりました。

「色はこの2色で行こう!」。キットチーム全員の「いいね!」でめでたく色が決定。キット制作には選択肢が次々と現れます。こんなふうに全員が「いいね!」のときは、パワーも倍増。一気に加速して進んでいきます。

 

トリミングフレームは、美しさと使い勝手を両立!

試作会で猿田さんが教えてくれたことがもう1つありました。それは、描いた1枚をまるまる使わなくてもいい、ということ。

「全体で見るとおかしなところがあっても、部分で切り取ってみると素敵なアートになりますよ」。そんなアドバイスをヒントに、私たちはアートを自在に切り取って楽しめるトリミングフレームを作ることにしました。

当初、このトリミングフレームは、アルコールインクアートをイメージして、フレームに模様を入れたデザインを考えていました。

 

 

でも、枠に模様があるとアートの色味のじゃまになる。でもフレーム自体を無地にしてしまうと、箱を開けたときの感動が薄くなる。薄い色にしてみる? 模様をやめる? など、あれこれ悩んでいたときに、チームの一人が「逆にしたら?」とさっくり。

ということで、最終的にみなさんにお届けしたのはこちらのデザインです。

 

 

これなら箱を開けたときにアルコールインクアートの世界が感じられるし、枠として使うときもアートの妨げにならない。ナイスアイデア! グッジョブ!

 

 

トリミングフレームを使って作品の一部分を切り抜くと、見え方が全然違ったものが生まれます。その新発見がとっても楽しい!練習した1枚や自分的に失敗したな~と思ったものでも、トリミングフレームを当てて眺めると、とたんにアートに変身。もうクセになりそうな楽しさです。

 

 

これだけでおしゃれな壁に!ヘキサゴンって素晴らしい

撮影の1週間前、猿田さんから作品が届きました。そおっと開けてみると、A4の専用ペーパーに描かれた作品がいっぱい。その中に1つだけ仕立てまでお願いしていた作品がありました。ヘキサゴン(六角形)です。

 

 

トリミングフレームを使ってA4サイズの作品をヘキサゴンにカットし、裏にパネルを貼ったもの。しっかりと厚みがあり、もうこれだけで壁が一気におしゃれに。トリミングフレームにヘキサゴンを入れておいてよかった!

そのほかの作品は、A4サイズのまま額装するもの、カットしてフォトフレームに入れるもの、封筒の飾り紙にするものと、と分けていきました。猿田さんの作品は、どれもそのまま額装したくなるほどの素晴らしさ。ハサミを入れていくのはとっても緊張しました。

 

 

封筒の飾り紙も作ってみました。撮影ではちらっと紫陽花のドライフラワーを添えてみたり。

 

 

アートが上達する楽しさももちろんあるけれど、偶然生まれる色や模様を楽しむことがアルコールインクアートの醍醐味!初心者の段階でしか生まれない作品もきっと愛おしいものになるはず。

アートを作って、アートを飾る。アルコールインクアートが、そんなアートを楽しむ暮らしの初めの一歩になりますように。

「アルコールインクアートスターターキット」を見る>>

 

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