『Craftie Home Box』は、毎月さまざまなハンドメイド体験をお届けするサブスク定期便。季節によって衣替えするように、シーズナルな小物を自分で手作りしたり、少し手を加えたりすることで、おうちが自分だけの愛おしい場所になったらいいな。そんな思いから生まれました。
キットづくりの着想から完成まで、キットチームの舞台裏を紹介する制作ストーリー、今月は「ロッカーフッキング」のお話です。
新しいクラフトを紹介したい!
次はクラフト系のBoxを作りたいな。刺し子などの日本の伝統的な手仕事のBoxを手がける一方で、まだ日本ではあまり知られていないクラフトを紹介していくのも、Craftie Homeが目指していることのひとつ。海外のサイトやピンタレストをくまなくチェックしながら、日々、魅力的なクラフトを探し続けているのです。
「こんなの、いいな〜」「素敵!」と思ったクラフトのなかで特に心惹かれたのが、糸やひもを使った作品の数々。それは「ファイバーアート」と呼ばれていて、海外では1つのジャンルとして定着しているそう。ファイバーアートは、職人技!と思える繊細な作品や大作も多いのですが、そのなかで私たちが楽しく作れそうなクラフトを見つけました。それが「ロッカーフッキング」です。
ロッカーフッキングは、メッシュ状のキャンバスに専用のかぎ針で糸を引っかけて模様を作っていくクラフトで、海外ではラグ作りなどでとってもポピュラーなよう。Craftie Home Boxで人気キットとなったマクラメに続くBoxになりそうな予感がしてきました。
日本でも作っている作家さんはいるだろうか? 探してみると、ぴったりの作家さんを発見。Acra fiber arts(アクラファイバーアート)の井上明日香さんです。井上さんは、ロッカーフッキングの新しい可能性を模索しながら、認定講師監修やキット販売など、ロッカーフッキングの楽しさを伝える活動をしています。まさに今回のキット監修の適任者! さっそく連絡を取ると、快くキットデザイナーを引き受けてくれました。井上さんとの二人三脚で、キットづくりに邁進です。
ぽこぽこ埋まっていくのが楽しい!
ロッカーフッキングは、私たちにとっても新しいクラフト。まずはともあれ、作ってみたい!
必要なものは、専用キャンバスとかぎ針、そして糸です。かぎ針はロッカーフッキング専用の針で、おしりに針穴がついたユニークなもの。この穴に土台糸になる「芯ひも」を通して、キャンバスのマス目を埋めていくのです。編み物とは似て非なるクラフトにワクワク、ドキドキ。専用の道具を手にすると、新しいクラフトを手がけている気分が盛り上がります。
井上さんに作ってもらったサンプル作品を見ながら、さっそく試作してみます。キャンバスをブロックに分け、ブロックごとに毛糸を変えながら埋めていきます。初めは戸惑ったものの、数分で要領を覚えて、あとはスイスイ。
「ぽこぽこ埋まっていくのが楽しい!」
「埋め尽くされていく過程がワクワクする〜」
「編み物よりずっと簡単!」
口々に感想を言い合いながら、手はもくもくと動いています。ほんと楽しい! 集中できるし、癒される〜。
キットチーム全員が作り方を習得したら、次は毛糸選びです。毛糸は、色だけでなく、太さや質感も異なるので、一筋縄ではいきません。
「太い毛糸のほうがキャンバスの穴にぴっちり埋まるのできれいに仕上がりそう」
「でも、それだけだと単調になる?」
「細い毛糸を2本どりにしてみたらどうかな?」
さまざまな毛糸を試してみて、もこもこ、ふわふわ、つぶつぶと、質感の異なる6種類をチョイスしました。
色は、オフホワイト、ピンクベージュ、ライトブラウン、ライトベージュ、アイスブルー、ピンクホワイト。Craftie Homeのキットではあまり使ってこなかった寒色系のアイスブルーを入れたことで、ベージュやピンクといったやさしいくすみカラーがより引き立つように。
どの色を組み合わせてもトーンがそろうし、お部屋に馴染むやさしい色合い。自信をもっておすすめできるカラーコーディネーションになりました。
大小2つの作品で基礎も応用もバッチリ!
「初めてでも、無理なく、楽しく作り上げること」をモットーにしているCraftie Homeのキットでは、1作品を2時間以内で仕上げられることを目安にしています。
アート系のキットは、一気に数点作れるものが多いのですが、クラフト系のキットは、基礎テクニックを習得できる簡単な作品と、作りごたえのある応用作品を組み合わせることが多いCraftie Home Box。
今回のロッカーフッキングでも、小さな作品で基礎をマスターし、大きな作品で応用テクニックを楽しむ2作品を考えました。
基礎がマスターできる作品としてデザインしたのは、約11cm角のコースターサイズの小ぶりな「スクエア」です。
3つのブロックを埋めていくシンプルなデザインですが、1本どりの毛糸で埋めるブロックと、少しだけ難易度が上がる2本どりの毛糸で埋めるブロックを用意して、ロッカーフッキングのスキルをステップアップしながら、作品を完成できるように工夫を凝らしました。
応用テクニックが習得できる作品は、ダイヤのブロックを組み込んだデザイン「ダイヤ」です。
上下3つのブロックの作り方は、「スクエア」デザインと同じ要領。真ん中に「スクエア」とは違う新たなテクニックを登場させました。専用のかぎ針のほか、とじ針を使って埋めていく部分もあるので、1つのデザインでさまざまなテクニックが覚えられます。
「スクエア」「ダイヤ」ともに、同じテクニックを用いながら、少しだけ違うデザインの作品も提案。テクニックを覚えると、同じ毛糸でもいろんなデザインが楽しめることもお伝えしたい!そんな思いでバリエーションを考えました。
暮らしのなかでどう使う?
素材と道具、作品のデザインがかたまったところで、次に知恵を絞るのが、使い方の提案です。
ロッカーフッキングの作品は、壁に掛けて飾る「ウォールデコレーション」と、敷物として使う「インテリアマット」という2つの提案がありそうです。
「壁に掛ける場合、どうやって掛けるのか、説明ほしいなー」
そんなチームメンバーの声を受け止めて、「どんなふうに壁に掛けるのか?」も説明することに。
ロッカーフッキングのキャンバスはメッシュ状になっているので、裏側に吊るしひもを通すことができます。私たちは簡単にできる3つの方法を考え、キットと一緒にお届けしているマンスリーブックレットで紹介することにしました。
スタイリングのちょっとした種明かしを盛り込んだことで、「作った作品をおうちに飾ってみようかな」と思っていただける方が増えたらいいな、と願いつつ。
壁に掛ける、敷物として使う以外にも、試作会では、「クッションにしてみたらどうかな?」「ポシェットにはできるか?」「意欲的な人はバッグにしても」など、いろいろなアイデアが飛び交いました。
「こんな方法もあったのね」という斬新なアイデアは、Boxを手にしたみなさまに委ねて、でき上がってくる作品を楽しみに待つことに。
ロッカーフッキングという新しいハンドメイドで、くつろぎのひとときを過ごしてくださいね。